くう楽器「ちくわ」
ちくわを楽器として笛のように吹く演奏家がいる。住宅正人(すみたく まさと)という人である。ちくわから作ったちくわ笛という楽器を駆使して、いろんなところで演奏とちくわ笛の普及活動を行っているらしい。
住宅さんのホームページには、ちくわ笛の作り方が紹介されているので、そのレシピではなく作り方に従ってちくわ笛を作ってみた。
作り方はいたって簡単である。吹き口をカットして、指穴を表に4カ所、裏に一カ所あけるだけである。
カットしたり、穴をあけたりしたときの切りくずは、当然食べるのである。これぞまさに食う楽器である。この作業は、冷蔵庫からちくわを取り出してから5分で完了する。
ちくわ笛は太さも長さも違うのだが、尺八に似ている。私はこどもの頃、父親の持っていた尺八に興味を持って尺八を吹いていたことがある。簡単な曲を吹けるような段階までいった。
ちくわ笛も簡単な曲ぐらいは吹けるだろうと、音を出してみるのだがこれがなかなか難しい。口笛を初めて吹く人のようないわゆる唇から息が吹き出る音しかしない。ちくわに唇をあてる角度や吹き出す息の強さをいろいろ変えてみるのだが。あっ、音が出そうという角度をつかんだつもりでも、素材がグニャグニャとして安定しないので続かないのである。
それでも、吹き出す息に音らしきものが混じっているので笛のように指を動かすと音程の変化は聞き取れるのである。
しかし、一時間ほど吹いても笛らしいクリアな音にはならなかった。どうも私にはちくわ笛の才能は無いようだ。指もちょっとちくわ臭くなってくるし、ということで曲を吹くことは諦めたのである。
ちくはは夕食のとき、斜め切りにしてわさび醤油で食べた。笛は下手だが、ちくははうまい、などというベタなだじゃれとともに。ちなみにちくわは豊橋産ヤマサのちくわである。
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