そう楽器「タイプライター」

そう楽器「タイプライター」

タイプライターは事務機器というカテゴリーであるが案外、楽器というカテゴリーにも親和性が高いのである。それはタイプライターという機器の改良の歴史を繙くとよく分かる。
タイプライターの動きの基本とは、打ちたい文字を示すキーを押し下げると梃子の原理で活字部分が持ち上がり、勢いよく紙に打ち付けられ、活字部分はぱちんと弾けるというもの。これは、ピアノのアクションと呼ばれる装置の動きと基本的には同じ。鍵を押し下げると梃子の原理でハンマー部分が持ち上がり弦に打ち付ける。
タイプライターはピアノアクションの構造を導入することによって文字打機としての完成度を高めたのである。だから、改良初期のタイプライターの指で押し下げるキーの部分はピアノの鍵盤(キーボード)と同じ外見だったのだ。
そんなタイプライターだからこそ、実際にいくつかの楽曲に楽器として使われているのだ。なかでも、有名なのはアメリカの作曲家、ルロイ・アンダーソンの、そのものズバリ「タイプライター」だろう。
オフィスの慌ただしさが、タイピングの連続音と改行を知らせるチンとキャリッジリターンの音で見事に表現されている。この曲にはタイプライター用の譜面も用意されていて、きちんと打楽器として扱われている。このことが、コミカルでキワモノ的な印象の曲にも関わらず名曲として残っている理由なのだろう。
ところが残念なことに、タイプライターそのものはすでに過去の事務機器となっている。機械的な部分はすべて電子に置き換わり、書院とかルポとかいうワードプロセッサーとなったあと、今はそれらもなくなりタイプライター的機能はコンピュータのほんの一部のアプリケーションでしかない。
それでも、タイプライターの名残であるキーボードは残っている。鍵盤(キーボード)というよりはスイッチ盤だけど。


そう楽器「鞭」
そう楽器「鞭」(2014-10-22 00:24)

うそ楽器「ビオラ」
うそ楽器「ビオラ」(2014-07-29 18:13)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
そう楽器「タイプライター」
    コメント(0)